山田村のおにぎり
京都から丸亀に向かうにはいくつかのルートがあるが、一番速いのはやはり新幹線だ。車なら明石海峡大橋から淡路島を通って鳴門から高松、そして丸亀だが、新幹線なら岡山乗り換えで瀬戸大橋経由になる。岡山に寄るということは、山田村に寄るのが必然だ。高菜明太が食べたい。
駅員に途中下車できることを確認し、新幹線の改札を出て「さんすて」に入り、躊躇なく山田村を目指す。昼時とあって十人以上が並んでいる。五分もあれば買えるだろうと列に並ぶ。相変わらず繁盛している。唐揚げと高菜明太を買うと、在来線改札から8番線ホームに向かう。ここから特急南風号で丸亀に向かうのだ。
南風号は高知行きだ。高知と言えば、鰹のタタキに坂本龍馬、そしてアンパンマンなのだ。だから南風号の車内にはさりげなくアンパンマンキャラが描かれていた。作者はすでに無く、ドキンちゃんの声優も亡くなってしまった。
それを言えば、サザエさん、ドラえもん、クレヨンしんちゃん、いずれも作者はすでに亡くなっている。しかし、こんな美味しい商売、じゃなくて、子供達に夢を与える作品は永遠に不滅なのだ。
車窓から瀬戸内海の島々の景色を眺めながら、高菜明太を食べるのであった。
麺処 綿谷 丸亀店
当初、高松市内でうどん食べようと思っていたが、知人の高松市民に忠告された。
「昼時の高松市内はうどん店にすごく人が並んで、食べるの大変だよ。それにうどんは香川県西部の方が美味いから、そっちに住んでるやつに聞いたらいいよ。」
なるほど。そこで多度津町民に聞いてみた。
「綿谷、丸亀店。」
了解。
丸亀駅ではちやの若社長と待ち合わせ、合流したところで、タクシーに乗り、店に向かった。有名店らしく、運転手はもちろん知っていた。10分ほどで到着。
あれ?誰も並んでない。時計は13時を過ぎていた。もうピークを過ぎたのか?中でたくさん並んでるのではないか?半信半疑ででかいスーツケースをもったまま店内に入ると、そのまま注文カウンターに並べてしまった。慌ててすぐそばの空いていたテーブルに荷物を置く。
メニュー
この店のオススメは肉うどん、注意点はサイズは小にすることだと、多度津町民からは忠告を受けていた。地元民の言うことには素直に従う。抗うとロクな目に遭わない。
六年前、沖縄に遊びにきた知人らに、0時以降はソープランドには行ってはならぬ、ロクな目に遭わないからとしつこく忠告したにもかかわらず、遊びに行って酷い目にあったと怒っているので、深夜にソープに行くなと言ったよね、とたしなめたら、急に小さな声で、いや、日本男児たるもの、冒険無くして…などとのたまうので、ふざけるな!人の忠告無視して酷い目にあって、八つ当たりで人に怒るのはおかしいだろう!と怒鳴りつけたことがあった。以降、私も地元民の忠告は素直に聞くことにしたのだ。
肉うどん
カウンターでは最初にうどんを注文する。それから天ぷらなどのトッピングを自分で取り、最後にうどんをもらって清算だ。はちやの旦那は唐揚げ串と天ぷらを取っていた。食べきれるのだろうか。うどんの受渡口は、やはり多くが肉うどんだ。ひとつだけ、やたらと大きな丼が置かれた。
これが中サイズか?!
大の間違いではないのか?とても食いきれるサイズではない。小にして正解だ。うどんを載せたお盆を持って、テーブルに戻る。もちろん、水もセルフだ。
まずはツユをすする。薄口の少し甘めだ。どうして日本人はカツオ昆布だしベースの汁を飲むとホッとするのだろうか。胃に沁みる。次にうどんだ。こしはそれほど強くない。個人的には好みなのだ。うまい。これは箸が止まらない。地元民の言うことは絶対なのだ。温玉のトッピングも正解だ。肉うどんに温泉玉子の組合せは鉄板なのだ。
ん?向かいに座る若社長の箸が止まっている。唐揚げ串に手こずっているようだ。このうどん、見た目と違い、かなりのボリュームだ。その上、天ぷらに唐揚げ串。食べきれるのかと言う不安が的中。
「だって、本当にうどんの小でいいのかって不安じゃないですか。それで、ついつい。」
気持ちは分かる。だけど、赤ちゃんのミルクは飲む直前に作るものなのだよ。朝6時に起きて作り置きしては、奥さんが怒るのも当たり前なのだ。若旦那、がんばれ。
麺処 綿谷 丸亀店
数年前に五十路となったバツイチ男性。昨日は沖縄、今日は北海道、明日は四国…出張三昧の日々、三年間で制覇した店は千店舗を超えた。日本全国及び海外での食事を記録したブログである。五十路とは本来「五十歳」を意味するが、現代社会では「50代」と誤った認識が定着している。それにあやかりブログのタイトルを名付けた。(詳しく読む…)