京都 瓢喜 京橋店
東京駅近くで多めの人数で個室ランチを食べるのに便利な店は、それほど多くない。よく使っていたのは、ここ「京都 瓢喜」と向かいの姉妹店「香水亭」である。ランチだけはかなりの回数を経験したが、夜に訪れたのは皆無であった。
とにかく、東京駅八重洲口には、個室のある落ち着いた店が少ない。ネットで調べれば数はあるのだが、まあ、ひどい店が多い。まともな店に当たったことが無い。ブログに投稿していない店がかなりある。思い出したくも無いのだ。
やはり、このような地代が高額な場所で、呑み放題6000円程度の予算であれば、那覇で3000円程度の店と変わらないのかもしれない。いや、那覇の店の方が旨い。しかも2000円で呑み放題の店だってあるのだ。それを考えると、東京八重洲口はコスパが異常に悪い。
だが、さすがに1万円以上払えばそんなことはないだろうと思い付き、忘年会に予約したのが京都 瓢喜であった。さあ、見えてもらおうか、京料理の神髄とやらを。
献立
会場につくとすでにテーブルには数々の品がセッティングされていた。重箱に鍋。すき煮コースである。
献立は8品。
- 胡麻豆腐 美味出汁 山葵
- 鯖寿司
- 玉地蒸し 帆立 蟹餡掛け 忍生姜
- 鰆幽庵焼き はじかみ 葉唐辛子
- 小松菜浸し 赤蒟蒻 糸雲丹
- 極上黒豚すき煮
焼豆腐 玉葱 榎本茸 花麩 丁子麩 赤蒟蒻 京山椒 - ちりめん山椒の御飯 赤出汁 香の物
- 黒糖わらび餅
胡麻豆腐 美味出汁 山葵と鯖寿司
サバ寿司うまい、薄味。サバの旨味もしっかりと味わえる。
玉地蒸し 帆立 蟹餡掛け 忍生姜
玉地とは玉子と調味液を混ぜ合わせたものだ。それを蒸したものが玉地蒸し。つまり、具は入っていない。茶碗蒸しではないのである。すごく薄味だ。私の好みである。ホタテと蟹肉のあんかけは、素材の味をシンプルに味わえる。
忍生姜とはしょうがのおろし汁を数滴かけることらしい。隠し生姜よりも量が少ないとのことだ。
鰆の幽庵焼き
酒の注文には卓上のタブレットを使うように言われたが、いくら注文しても酒が出てこない。結局、呼び鈴でスタッフを呼んで酒を頼む。タブレットの意味がない。
誰かが叫ぶ。
「タブレットで注文した酒は来ないから。」
小松菜浸し 赤蒟蒻 糸雲丹
小松菜と赤こんにゃく。京料理にしては少し味が濃い。しょっぱい。さすがにこいつは大丈夫だろうと思ったのだが、まさかのコンニャクまでしょっぱい。東京人のためなのか、酒のみのためなのか、あえて味を濃くしているのか。ランチでも赤蒟蒻はたびたび出てきたが、これほどまでに塩気を感じた経験は無いと思う。
極上黒豚すき煮
宴席の開始は17時半。1時間が経過してもメインのすき煮にありつけなかった。中座した者は一万二千円を払って、ほぼなにも食べずに退席する羽目になった。
1時間が過ぎてようやく好きに鍋に火が入った。数分後、湯気が噴き出す鍋のフタを開けて驚いた。あれ?これは先々週も食べた。ランチと同じものが出てきて、がっかりだよ。ただでさえ酒が遅くてストレスが溜まっているのに、メインがこれではテンションはダダさがりである。
1時間半が経過した。通常はドリンクのラストオーダーの時間だが、締めが出てこない。食事を食べ終えていない。ああ、ここにも赤蒟蒻がいる。織田信長が愛した滋賀名物をこれでもかと推してくる。この店の料理長はどれほどコンニャクが好きなのだろうか。
二時間が経過した。コース料理はまだ出尽くしていない。酒も来ない。完全に酒の注文に店員が追いついていない。だからIT化をしたのだろうが、注文したものが来なければ、人間を呼んで注文する。
まさにチケットぴあの予約電話と同じだ。
繋がらければ何度もかける。リクエストが殺到し、帯域に信号が輻輳し、パニックになる。いわゆるオーバーフローだ。ITを導入したのに、まったく効率化が図れないどころか、客に悪印象を与えて逆行である。
さすがに皆の予定があるので、お開きにする。ここでデザートのわらび餅が登場。もう遅すぎだよ。
ああ、普段の倍の会費でも、高級料理店でもこの始末。東京駅では団体で飲んではいけないのだと、実感した52歳の冬であった。
数年前に五十路となったバツイチ男性。昨日は沖縄、今日は北海道、明日は四国…出張三昧の日々、三年間で制覇した店は千店舗を超えた。日本全国及び海外での食事を記録したブログである。五十路とは本来「五十歳」を意味するが、現代社会では「50代」と誤った認識が定着している。それにあやかりブログのタイトルを名付けた。(詳しく読む…)