日本一の水揚げを誇る八戸の鳥賊と青森むつ湾の帆立や三陸のお造り

岩手県 久慈グランドホテル 三陸の幸を堪能する

3年ぶりの久慈

岩手県久慈市。NHKの朝ドラ「あまちゃん」で一躍有名になった街だ。アクセスの悪さから「陸の孤島」とまで呼ばれる場所だ。新幹線二戸駅からバスで90分、八戸駅までは列車で二時間。

だが、ちゃくちゃくと工事が進む復興道路こと三陸沿岸道路が仙台から久慈を経て八戸までつながるまでもう少しだ。この道路が完成すれば久慈へのアクセスはかなり改善されるように思う。八戸駅から1時間ほどで久慈まで行けるだろう。

前回と同じく二戸駅からバスで山道を走り、久慈へと着いた。今晩は某団体の新年会に参加するためにこの地に降り立った。宿泊先も会場も久慈グランドホテルだ。

新年会まで少々時間があったので、地元スーパーを視察する。数々の三陸の海の幸が破格で販売されているのは、まさに港町ならではなのだ。

久慈市のスーパー 鮮魚コーナー

うらやましいのだ。

あれもこれも買って持って帰りたいところだが、難しい話である。明日、花巻空港から伊丹経由で沖縄に帰るとはいえ、買った魚の保存場所がない。

ああ、こんな入れ食い状態を目にして何もできない自身の無力さに打ちひしがれる。仕方がない。今の私にできることは、今、この瞬間、この地で食べられるだけ食べるだけなのだ。

メニュー

新年会が始まった。本日のメニューは下記のとおりである。

  • 日本一の水揚げを誇る八戸の鳥賊と青森むつ湾の帆立や三陸のお造り
  • 三陸の磯煮
  • 鮃のカルバッチョ
  • 岩手二戸市の短角牛ステーキ
  • ずわい蟹の天婦羅
  • 北三陸特産いちご煮
  • 荼碗蒸し
  • 日本一脂がのった「八戸前沖さば」の一夜千し
  • 三陸産しうり貝
  • 久慈の名店「幸」の握り寿司

お通し

メニューにはないがお通しだろうか。ばくらい。海鞘の塩辛である。私の大好物である。口に入れると独特の香りと磯が混じった匂いがふわっと広がる。今日は塩分を気にせずに食ってやる。

日本一の水揚げを誇る八戸の鳥賊と青森むつ湾の帆立や三陸のお造り

イカ、と聞くと函館のイメージが強いが、実は水揚げ全国一は八戸だと知らされた。調べてみると確かに水揚げ量は2位の函館をダブルスコア以上で引き離してダントツ一位である。しかも他の産地と違い、八戸だけは赤イカが獲れるのだ。

白身はスズキだろうか。マグロも地元で獲れたものだろう。新年会なので参加者が多い。写真を撮るので精いっぱいである。

特産のホタテとイカだ。北海道の一大産地である噴火湾では数年おきにホタテが大量死するが、むつ湾では起きないとのことだ。調べてみると、実はむつ湾でも同じことが起きていたが、噴火湾の方が被害が大きいために隠れてしまったのかもしれない。

いずれにしろ、北東北と北海道は食材の宝庫である。イカもホタテも新鮮でうまいのだ。

三陸の磯煮

三陸産のうに、ムール貝とわかめを使った贅沢な煮物である。素材の味を生かした味付けだ。贅沢極まりない。東京で食べたらいくらするのだろうか。

鮃のカルバッチョ

ヒラメを贅沢に野菜たっぷりのカルパッチョにした一品。味付けも薄く食べやすい。魚だけでなく野菜もまた新鮮で美味である。

岩手二戸市の短角牛ステーキ

岩手と聞けば短角牛。美味しんぼにも登場したと記憶している。調べたが分からなかった。100巻を超える単行本を読み返すのも大変なのでいずれ機会があれば調べてみよう。

岩手から青森にかけて一戸から九戸まで1から9まで地名がある。「戸」には馬の飼育場という意味があり、平安時代、このあたりに牧場が開設された順番に「一戸」「二戸」「三戸…」と地名が付けられたようだ。

ずわい蟹の天婦羅

ズワイガニと聞けば日本海か北海道を連想するが、三陸沖もカニの好漁場であるから、このような贅沢な天ぷらを味わえるというものだ。

北三陸特産いちご煮

いちご煮は不思議な香り。ウニとアワビの潮汁である。高貴だ。明治天皇が詩に詠んだだけはある。

ネットにはイチゴに似てるとか書かれているが、そうではないと地元民が力説していた。詩を聞かされたが覚えていない。ネットでも探しきれなかった。

見つけた。こいつだ。

スープに沈む黄金色のウニが「朝靄の中に霞む野いちご」のようなので「いちご煮」なのだとか。

荼碗蒸し

茶碗蒸しうまっ!味が濃厚。しかも具沢山、ゴボウまで入っている。甘い栗に大人の味の銀杏。一気食い。

日本一脂がのった「八戸前沖さば」の一夜千し

かなり腹が膨れてしまって、サバには手が出なかった。写真だけ撮影する。八戸もまたサバの一大産地なのであった。「八戸前沖さば」もブランド魚なのである。

三陸産しうり貝

ムール貝のことである。豪快に大皿に盛られた料理はビジュアル的にも迫力がある。だが、腹がいっぱいだ。

久慈の名店「幸」の握り寿司

久慈に来たらこの店で鮨を食べる義務があると言ってもよい。だが、早い時間に店が閉まるので、今回はあきらめていたところ、わざわざ全員分を出前で用意してもらった。

うれしい心配りだ。

とにかく美味。これも東京で食べたらいくらするのだろうか。沖縄では材料が手に入らない。鮮度が維持できない。産地ならではの贅沢なのだ。

ご馳走様

ドリンクには下北ワインの青森ヌーヴォーが供された。ぶどうの力強い香り。ジュースのようだが飲めば確かにワインの味。

久慈と八戸、下北半島はもとは南部藩であり、同じ経済圏に属する。青森県は津軽藩と南部藩が合併した。この2つはすこぶる仲が悪い。五百年以上もいがみ合っている。

私の曽祖父は津軽の人なので、少々びくびくしながら話を聞いていた(笑)

明日の朝には久慈を立つ。用事がなければ2泊してゆったりとこの地を楽しみたかったのだが、なかなかうまくはいかない。

いつか家族で訪れることを夢見て、沖縄に帰るとしよう。

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