かつめし
加古川のソウルフードと言えばかつめしだ。一年前に来た時はエデンで食べた。和牛の厚切りビフカツを使った、高価なかつめしを頼んだ記憶がある。
三色かつめし いろはーず
今回は駅前商店街にある「三色かつめし いろはーず」に行くことにした。泊まったホテルから近いのと、「三色かつめし」に興味があったのだ。さらに、この店はかつめし発祥の店、いろは食堂の流れを汲むとのことだ。さあ、見せてもらおうか、三色のかつめしとやらを。
商店街を歩いて、店を見つけた。軽い…ではなく、ポップだ。嫌いではない。
メニュー
店頭のメニューを見る。なるほど、ドミグラスの赤、ホワイトソースの白、いろいろ混ぜた緑のソースで三色なのだな。しかも組合せ自由ときたものだが、私ごとき初心者が、いきなりこのような高等技術に挑戦すると、まあまあぼろぼろになる。
店内に入る。カウンター席に通される。壁には数多くの色紙が飾られていた。
オーソドックスに人気ナンバーワン、赤のビーフカツメシをオーダーした。かつめしの由来を説明した文章を読む。
赤のビーフカツメシ
先に味噌汁が出てきた。おかわり自由とのこと。そして、目的のかつめしだ。平皿の上にご飯を平らに敷き、これまた平たいビフカツを載せ、茹でキャベツを付け合わせせ、仕上げに上からタレをたっぷりとかける。カツは衣薄め。スプーンやフォークなどはない。箸で食べるのか。
肉は薄いが柔らかい。箸でちぎれる。野菜と牛すじベースの甘めのドミグラスのタレは、ソースと言うよりルーに近い。ご飯と一緒に口に入れる。
美味い。
カツとご飯の相性がいいことは、誰もが知るところだ。カツライス、カツカレーライス、カツ丼、トルコライス、カツピラフ。世には数多くのカツとライスを組み合わせた料理が存在する。しかし、かつめしはそのどれとも距離を置く、独立した料理だ。ルーはハヤシライスでもない。カレーでもない。重くもないかコッテリしていて、食べ応えまではないが、コクがカツの旨味を加速させる。
そこに茹でキャベツだ。意外なことに冷たい。当たり前だが、味が付いていない。とんかつ店でも生キャベツに最低でも醤油をかけるものだ。これが母の味だろうか。解せぬ。
味噌汁は具沢山だ。嬉しい。
まあいい、完食だ。となりに客が座った。地元民のようだ。店員がソースは二色でも三色でもできること、ソースを増やしても値段が変わらないことを客に告げる。客は私と同じく、赤のビーフかつめしをオーダーした。運ばれてきたかつめしを食べる様を観察したが、特に私の食べ方と違いがなかった。
ごちそうさま
食べ終わって心にゆとりができたからだろうか。色々トッピングができることにきづいた。さらに、カウンターの壁に6か条なるものに気づく。
1.加古川かつめしはお箸で食べるものなり。
なるほど。やはり、箸で食うものなのか。
2.食べにくければお皿を手で持って食しても良し。
和食だもんな、箸で食うんだし。
3.付け合わせにはボイルキャベツが当たり前。
エデンは生野菜だったな。これ、そんなに美味いかな。
4、ボイルキャベツはタレをつけて食べるべし。
な、なんだと?
またやってしまったのか?!「はじめにお読みください。」を読まずにソフトをインストールして、やってはいけないことをしてしまい失敗するのと同じだ。
落ち着け。まだある。
5.ソースが入用の時は店員に伝えるべし。
ソースおかわり自由なのか。
6.受験、試験、試合など、勝負ごとの日にはかつめしを食べるべし。
余計なお世話だ。そのときだった。かつめしのキャベツを残した隣の客が、グリーンのピリ辛ソースをお代わりした。
これが本場の食べ方なのか?!
なにか打ちのめされた気持ちになって店を出る。私はソースを注文時にしか頼んではならないという「固定観念」に縛られていたのだ。食べ方にルールはないのだ。食は自由なのだ。自分の視野の狭さをまざまざと見せつけられて意気消沈だ。
認めたくないものだな、若さゆえの過ちとは。
もう若くないがな(涙)
数年前に五十路となったバツイチ男性。昨日は沖縄、今日は北海道、明日は四国…出張三昧の日々、三年間で制覇した店は千店舗を超えた。日本全国及び海外での食事を記録したブログである。五十路とは本来「五十歳」を意味するが、現代社会では「50代」と誤った認識が定着している。それにあやかりブログのタイトルを名付けた。(詳しく読む…)