急遽、北海道へ
急に北海道へ行くことになった。なんとか飛行機は取れたが、翌日が鹿児島なので、羽田~新千歳の便と新千歳~福岡の便を予約した。平日だというのに、札幌便はほとんどが満席だ。ファーストクラスだけが空いていたので、なんとか予約することができた。
会議後、正午ちょうどに東京のオフィスを出る。社宅まで戻り、荷物を持って空港に向かうのだが、ここで一つ問題があった。まさか北海道に行くとは思わなかったので、ジャケットを持たずに来たのだ。長袖のシャツは何枚か持っていたので、どこかで調達せねば風邪をひく。買うとすれば、品川、羽田、千歳、札幌のいずれかである。ネットで調べると品川駅の高輪口にshipsがあるではないか。私の好きなブランドだ。
品川駅では15分ほど時間ができた。10分でジャケットを選んで購入。12時43分初の羽田空港行き特快で空港に向かった。服を買うときは常に即決即断。迷うことはほとんどない。いや、迷うくらいなら買わなければいいのだ。
今日のランチはファーストクラスの食事である。なにが食べられるのか、楽しみだ。ANAの食事にワクワク感は湧かないが、JALにはそれがある。食べたいと思う気持ちがある。ANAだと、勘弁してくれというのが正直なところだ。
ファーストクラス昼食
定刻通りに離陸したJAL517便の配膳が始まったのは午後二時頃であった。ほうじ茶の香り心を落ち着かせてくれる。熱々で美味い。同じお茶でも、紙コップで飲むより、茶碗で飲むほうが気持ちがほっこりとするのは、お茶を味わい深く感じるのは気のせいだろうか。手に伝わる温もりがおもてなしを実感させてくれるのだろうか。
アサリの玉ねぎバター餡は上品な味付けでしっかりとしたアサリの食感、噛みしめるたびに溢れてくる貝の旨味がいい。玉ねぎとバターは脇役に徹していて、主役の味わいを邪魔することなく、和食を楽しませてくれる。ときおり混ざる木の芽の香りがいいアクセントだ。
筍玉締めは、よく冷えた筍の煮物に玉子と青海苔を和えたものをのせている。しっかりとした食感と口に広がるたまごの甘み、磯の香り。味付けもバランスよく、お茶で温めても味わいに変化がない。塩味加減も申し分ない。このあたりがANAと違うところだ。
メイン料理を味わう
牛サーロイン辛味噌餡はニンニクの香りが匂い立つ辛味噌と、きめ細かい牛サーロインとの相性がバッチリだ。肉は柔らかく、脂は控えめ。赤身の旨味が味わえる。付け合わせのシャキシャキキャベツとワラビのナムルが食感とともに肉の味わいを広げる。そうだ、何かに似ていると思ったら、これは焼肉のたれだ。辛味噌餡と書いてあるので、ラーメンに入ってる赤い味噌を想像していたが、先入観が邪魔をしていたのだ。
人参とズッキーニは少し冷たい。暖かいほうが嬉しかった。酸味控えめのクリーミーなポテサラはいい箸休めになる。
ステーキをもう一口。硬めに炊かれた一粒一粒が立っているふっくりんこがおかずに合う。この二倍くらいは食べたい。ついでに香の物も欲しい。
デザートは名古屋菓子
最後はデザートに名古屋方言饅頭だ。
「ごっさま」
ご馳走様のことだろうか。
「一般の妻女のこと。」
それは分からんな。外はしっとりした厚めの皮、中は舌触り滑らかなこしあん。どら焼きのような和菓子である。お茶と合う。
飛行機は大間の上空に差し掛かった。北海道が見える。函館だ。まもなく着陸する。今晩は何が食べられるだろうか。たまにはこんなハプニングもいいか。
数年前に五十路となったバツイチ男性。昨日は沖縄、今日は北海道、明日は四国…出張三昧の日々、三年間で制覇した店は千店舗を超えた。日本全国及び海外での食事を記録したブログである。五十路とは本来「五十歳」を意味するが、現代社会では「50代」と誤った認識が定着している。それにあやかりブログのタイトルを名付けた。(詳しく読む…)