奥出雲そば処 一福(いっぷく)
朝というか昼というか、防府駅で立ち食いうどんを食べたが、やはり腹が減ってきた。ネットで調べる。出雲行きの列車の車中だ。やたら圏外になるので、なかなか操作性が悪い。人口カバー率とか言わずに全国にキッチリ電波を届かせろや、ボケauなどと毒づきたくもなるものだ。お?出雲市駅のそばに「一福」なる店がある。そんな店があっただろうか。記憶にないが、食べた人がいるのだからきっとあるのだろう。ここで食べよう。
午後四時過ぎ、列車は定刻通りに出雲市駅に到着した。出雲市民の忍野さんも同じ電車に乗ってるはずだ。新山口駅のトイレで見かけたが、場所が場所なので声をかけなかった。エレベーターで改札に降りると、忍野さんは階段を見上げて立っていた。私を待っていたようだ。少し用件を話すと、二人で改札を出て別れた。別れ際に「一福」について尋ねると、知らないと言う。
「新しい店でしょうか。」
忍野さんが聞き返してきた。まあいいや。改めてネットで調べるが該当する店が出てこない。仕方ない、ホテルにチェックインしてどこかで食べよう。
え?眼前に店がある。なんと、宿泊するホテルの一階に店はあった。以前はこんな店がなかった気がする。お土産店の一角に併設されている店だ。
店内に入るとまだ出来たばかりのようだ。レジの機械などが、まだ一部調整中で使えない。土産も売っている。ここは奥出雲蕎麦なのだな。出雲市からだいぶ山に入ったところに奥出雲町がある。
メニュー
さて、何を食べようか。メニューを見る。ん?季節限定の春菜そばが気になる。
まあ、メニューを見ようではないか。
割子蕎麦。出雲そば独特の食べ方だ。ただ、昨年、だいぶ食べたのでまだ食べたいとは思わない。
釜揚げ蕎麦は論外だ。出雲の方には悪いが、あれは無理だ。ヌルヌルして蕎麦は伸びるし、他県ではみたことがない。
結論。割子蕎麦ではなく春菜そばの冷たいのにしよう。ああ、そば茶がうまい。
店内は明るめの内装できれいだ。午後四時過ぎだが、私と同じようにお昼を食べ損ねた客が少なからずいた。そば茶をお代わりする。店員の対応が初々しい。いかにもバイト始めたばかりです〜という感じだ。
冷やし春菜そば
さて、蕎麦が運ばれてきた。蕎麦湯は湯飲み茶わんに入っている。
早速、つゆをぶっかけ、軽く混ぜてから食べる。冷たくしまった、角が立っている蕎麦は、コシがあり、喉越し良く、つるんと食道を通り胃に落ちて行く。
美味い。
つゆは甘めだが、甘すぎることはない。ごぼうとウドの香りがいい。きんぴらの油がつゆに溶け、天かすのような甘みとコクを味に加える。菜バナもクセがなく蕎麦にあう。食べてみるとエビは見た目ほど存在感はない。
あっという間に完食だ。蕎麦はこうでなくては。見た目は悪いが、やはり私はぶっかけ蕎麦が好きなのだ。
蕎麦湯にはつゆを入れずに、そのままいただく。サラッとしているが、半分ほど飲んで湯呑みを揺らすと、トロッと濃厚な蕎麦湯に変化した。どちらも好きだ。
これで夜はあまり食べれないな。夜中に腹が減ったらどうしようか。いや、それよりここは出雲だ。酒を飲んで無傷で帰れる土地ではない。しかも敵は無傷だ。お手柔らかにお願いして今晩をやり過ごそう。
奥出雲そば処 一福
数年前に五十路となったバツイチ男性。昨日は沖縄、今日は北海道、明日は四国…出張三昧の日々、三年間で制覇した店は千店舗を超えた。日本全国及び海外での食事を記録したブログである。五十路とは本来「五十歳」を意味するが、現代社会では「50代」と誤った認識が定着している。それにあやかりブログのタイトルを名付けた。(詳しく読む…)