出雲蕎麦が食べたい
今朝のホテルの朝食があまりにもイマイチで、ほとんど手つかずで終わらせた。残すのがもったいないとは思うが、一日三回の貴重な食事を我慢して食べたくもない。塩のきいたシャケはなぜか生臭い。こんなことならば駅前のドーミーインに泊まればよかったと嘆いてみても後の祭り。
ならば出雲そばを食べればいいのだ。
調べてみると、出雲大社の近くには朝九時から開店している蕎麦屋がいくつかある。だが、ホテルのある出雲市駅からでは、空港と大社は方向が真逆である。さすがに飛行機には間に合わない。
他になにかないのか。
お?朝七時から開店している店を見つける。こんな田舎に早朝から外食する需要がそんなにもあるのかと思いきや、空港のレストランであった。なるほど、少し遅めになるが、ブランチに出雲そばを食べることにした。
出雲空港 レストラン 至誠 やくも
エスカレーターで空港三階の店に向かう。ここだ。蕎麦以外にも豊富にメニューが取り揃えられている。
さて、何を食べようか。蕎麦だよな。ここは基本に立ち返って、割子蕎麦。決まりだ。
店内に入るとガラガラだ。11時前だから当然か。好きなところに座るように言われたので、窓際の明るい席に陣取る。
割子蕎麦
7分ほどして蕎麦が運ばれてきた。まごうことなき出雲そば。四つの割子の内訳は蕎麦が三段、薬味が一段だ。全国的にはせいろに蕎麦を載せて水が切れるようにするのが一般的だが、出雲そばはしっかりと水を切った麺を小さな割子に入れるのだ。
まずは1枚目の割子に薬味を載せる。蕎麦つゆを上からかけ入れる。箸で全体がなじむようによく混ぜてから、食べる。冷たくて美味い。細くて喉越し良い手打ちのそばだ。少し拙い感もあるが、手打ち独特の喉越しがある。
ツユは味も薄め色も薄め。まさにぶっかけ仕様だ。薬味はきざみ海苔、鰹節、青ネギ、もみじおろし。わさびと違い、自己主張控えめな、脇役に徹する薬味がそばの香りを邪魔することなく、サポートに徹している。
空港でこのレベルのそばが食べられるとは驚きだ。出雲そばの底力をみたかのようだ。などと感嘆している場合ではない。時間がない。とっとと食べよう。三枚の割子は五分ほどで空になった。
ごちそうさま
勘定を済ませて店を出る。店頭では若い衆の親父さんの指導のもと、そば打ちをしていた。
これか。
蕎麦に感じた拙さは、修行中の若者が打ったからであろう。あと一年も蕎麦を打てば、もっともっと上手くなる。美味くなる。そうして旅人の舌を楽しませてほしいと願うのであった。
数年前に五十路となったバツイチ男性。昨日は沖縄、今日は北海道、明日は四国…出張三昧の日々、三年間で制覇した店は千店舗を超えた。日本全国及び海外での食事を記録したブログである。五十路とは本来「五十歳」を意味するが、現代社会では「50代」と誤った認識が定着している。それにあやかりブログのタイトルを名付けた。(詳しく読む…)