ちゃんぽん麺

鹿児島県出水 つくしの里 飛来里店 出水チャンポン

鹿児島でちゃんぽん?

ちゃんぽんと聞いて思い浮かぶのは長崎だ。沖縄にもちゃんぽんがあるが、似て非なるものだ。そもそも麺ですらない。だが、鹿児島とちゃんぽんの組み合わせは聞いたことがない。昨晩、高見さんがそうめんの席で言った言葉が気になっていた。

「懇親会で何も食べれないと思って、駅でちゃんぽん食べてきたんだよね。」

え?食べてきたの?

「トマトちゃんぽん食べたよ。色々あって美味しいんだよ。」

なんだ、それ?味噌ちゃんぽんにカレーちゃんぽんまであるって?おかしいんじゃないか?確かに昼間の会議の合間にも同じようなことを話していた者がいた。でもやあ、ここは鹿児島だぞ。

翌日、レンタカー店から出水駅まで送ってもらった時に、車を運転している地元の女性に聞いてみた。

「出水駅前に中華屋ってありますか。」
「中華屋…ありませんよね。」

確かに駅前を見渡しても、焼肉屋しか見当たらない。きっと何かの間違いだろう。自分にそう言い聞かせて、さて、新幹線までの時間で何を食べるか考えていた。

ちゃんぽん日本一

出水駅西口のエレベーターで二階に上がり、薩摩オレンジ鉄道を見下ろしながら新幹線口へと向かう。エスカレーターを降りると左手に土産物屋が、右手に改札がある。新幹線の切符を買おうと右手に向かいながら、土産物屋を振り返ると、たくさんののぼりが立っているのが目に入る。

ちゃんぽん日本一?

とりあえずそそくさと新幹線の切符を買ってから、のぼりのはためく土産物店に入ると、右手に所狭しとメニューが掲示されたお食事どころがあった。これでは店の名前がわからない。

つくしの里 飛来里店

「とんかつカレーちゃんぽん」に「唐揚げカレーちゃんぽん」。あ、トマトちゃんぽんがレギュラーメニューにある。

普通に定食もあるのか。

出水ブランド認定と出水ちゃんぽんもある。ちゃんぽんだけでこれだけのメニュー。そう、この店の日本一とは、ちゃんぽんのメニュー数なのだ。本店には八十種類ものちゃんぽんメニューがあるらしい。まるで北京の老辺餃子館だな。あそこは七百種類の餃子メニューだったはずだが。

食券はないが、入口のレジでメニューを告げて会計を済ますシステムだ。色々迷うが、ここは出水なので、出水ちゃんぽんを注文する。メニューにはいずみ鶏 鶏三昧と書いてある上に、少々ピリ辛付きで一杯で二度美味しいとのこと。どんなちゃんぽんなのだろうか。そもそも真夏のこのクソ暑い中でちゃんぽんを食べるのはいかがなものだろうか。

店内は空いていた。昼過ぎとはいえ、観光シーズンでもなんでもない。出水は鶴の飛来地として有名なので、観光シーズンは冬なのだろうか。

出水チャンポン

水もセルフなので、紙コップに麦茶を注いで一服。あー、落ち着く。腹減ったなぁ。ほどなく出水ちゃんぽんが運ばれてきた。辛味調味料は、半分食べたところで投入せよとの指示を受ける。

まずはレンゲでスープをすくい、一口すする。薄口の鶏がらスープだ。あっさりした味わいが嬉しい。次に麺を…麺を…野菜が多くて麺になかなかたどり着かない。底の方に麺が固まってる気がする。箸でほぐす。ようやく麺が私の眼前に姿を現した。

いたって普通のちゃんぽん麺だ。

食べてみる。

いたって普通のちゃんぽん麺だ。

この料理の、どのあたり出水なのか?ゆで卵に鳥の唐揚げ、手羽中の煮込み。この辺りか。野菜がシャキシャキだ。もやし、キャベツ、人参、玉ねぎ、ちくわ、かまぼこ、豚肉。まあ、普通に美味いちゃんぽんだ。

手羽チャーシューは柔らかくてほろほろ、味は甘辛。チャーシューと同じ味付けなのだが、しつこくなく、程よく味が染み込んでいて美味い。店外メニューにも「手づくり」とアピールされていたな。唐揚げを食べる。衣はサクサク、中はジューシー。噛むと口の中に肉汁溢れだす。なかなかのものだ。

ちゃんぽんは美味いのだが、熱々なのではなかなか食べ進めない。それでも半分を食べたところで、指示通りに辛味調味料をどんぶりに投入。これの正体はなんなのだろうか?よく混ぜて食べる。うん、確かに少々ピリ辛だ。激辛でもなく、ピリ辛までもない、子供でも冒険できそうな辛味だ。

ここで新幹線の発車まで時間があまりないことに気づく。急ぐのだ。野菜が多い。いや、多過ぎる。ヘルシーだな。すでに麺は無くなっていて、どんぶりの中は野菜と鳥からだけだ。

暑い。熱い。汗だくだ。俺はフードファイターか?なんでか昨日からこんなのばかりだ。冷たいのも嫌だが、熱いのも嫌だ。そもそも早食いが嫌だ。それでも食べ進む。あと5分だ。頑張れ、俺。

気がつけばどんぶりの中は、汁でびちゃびちゃになった唐揚げが一個。これで最後だ。フィニッシュだ。勝ち誇ったかのように!ゆっくりと口に運び、噛みしめる。おお、衣がベチャベチャでも、肉はジューシーなままだ。やるなぁ。

勝った。

勝利の余韻に浸る時間もない私は、食器を店員に渡すと、そのまま改札に向かった。新幹線の時間を確認する。あれ?発車までまだ15分近くあるじゃないか。なんで?

あ、駅ナカあるある。時計が進めてあったのかよ。

ま、いいや。時間があるなら、トイレに行こう。

つくしの里 公式HP

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