ソーメン流し初体験
鹿児島県出水市。国道から外れた細い道をバスは進む。狭い。凹凸が激しい。バスが停まる。山の中だ。携帯は圏外。「そうめん流し」と書かれた案内板。ここが今夜の夕食会場だ。団体での食事である。
会場は渓流の上に位置している。涼しい。会場に入るとすでにセッティングが終わっていた。流しソーメンの装置には水が流れている。ここにそうめんを投入するのか。なんでもこのあたりが流しソーメン発祥らしい。こちらでは「ソーメン流し」と呼ぶことも初めて知った。
日が沈み、だんだんと会場の外が暗くなる。灯につられて虫が集まってくるが、それさえ一味違う。蝶トンボが天井付近を飛んでいる。こいつはかなり綺麗な水にしか住めない。各自、指定された席に座る。
コース料理
そうめんの基本セットが配膳される。ニジマスの塩焼きにオニギリ、鯉こく。料理を見た隣席の知人が呟いた。
「なんだ?これじゃ俺、メシ食えたじゃん。懇親会で何も食えないと思って、さっき駅前でちゃんぽん食ってきたんだよね。」
もう、どこから突っ込んでいいのか分からないのだが、とにかく腹がいっぱいだということはわかった。彼にはソーメン流し係を担当してもらおう。
鯉の洗い
見た目にも涼しげだ。
食べてみて驚いた。臭みもなく酢味噌が身の味をしっかりと引き立てる。美味い。こんな美味い鯉の洗いを食べたのは初めてだ。マスも焼き加減もよく、塩加減もバッチリ。臭みもない。水が綺麗なのだろう。
開始!ソーメン流し
さて、装置にソーメンもセットされた。これを流れに投入していくのだ。イッツ ショウターイム!流しソーメンの開始だ!ビールで乾杯の後は、とりあえず枝豆に鳥からにタコから。あとで分かったが、近くの海はタコがよく取れる。どちらもうまかった。
さあ、ついにソーメンだ。薬味は小口ネギに柚子胡椒とわさび。なんだか練りわさびに見えたのだが、指で触るとねっとりとしている。本物のわさびだ。味も絡みだけでなく、深みというか、わずかな旨味すらある。これを麺つゆに投入してよく溶かす。
ソーメンは激しく回っている。流れに箸を入れ、適量が絡んだところで引き上げる。つゆにつけて食べる。冷たくて美味い!なんだか食べてしまう。箸が進む。いいなぁ、家族で来たいなぁ。
イノシシの焼肉
食事の終盤、隣の卓のメンバーが何か頼んでいた。鹿の唐揚げとイノシシの焼肉だ。一口もらおう。鹿は臭みはないけど歯ごたえがある。肉の味がしっかり。こんなに硬かったかな。豚肉を濃厚にしたような味。脂よりも肉を味わう感じ。もっと脂の味がする方が好きだ。
そんなこんなで懇親会も終わり、店の入口で集合写真を撮ると、バスで街中に向かった。いいところだった。虫にも刺されなかった。それでも子供連れなら虫除けスプレーは必須だな。
数年前に五十路となったバツイチ男性。昨日は沖縄、今日は北海道、明日は四国…出張三昧の日々、三年間で制覇した店は千店舗を超えた。日本全国及び海外での食事を記録したブログである。五十路とは本来「五十歳」を意味するが、現代社会では「50代」と誤った認識が定着している。それにあやかりブログのタイトルを名付けた。(詳しく読む…)