居酒屋 兵たん
日本商工会議所青年部、略して日本YEGの今年最後のブロック大会がここ鹿児島県は出水市で開催された。ラストを飾る大懇親会は市民体育館にて盛大に催された。
市内のスナックでの二次会は、客が私一人だったのでゆっくりと飲めた。だが、腹が減った。おやつの時間に食べた伊勢海老の味噌汁が存外ボリュームがあったために、大懇親会ではあまり食事を食べれなかった。今頃になって腹が減って来たのだ。
スナックを出て、蕎麦屋でもあればと歩いていたら、向かいから出水市民の知り合いが歩いて来た。
「何を探してるんですか?」
声をかけられる。
「そばでも食いたいかな、と。」
「それならこの先に行った左側に『兵たん』って店があるので、そこいいですよ。」
なるほど。素直にアドバイスに従うことにした。
五分ほど歩いたところにその店はあった。中に入り、カウンターに座る。昭和レトロな居酒屋だ。
お通し
自家製豆腐がお通し。塩でも美味しいと薦められる。滑らか。美味い。塩で食べてしまう。もっと構えた店で自家製どうふはあるが、能書きの割りには美味くない。それがどうだ。美味いよ、ここは。ハイボールが濃すぎる。このままでは酔ってしまう。
アジフライ
蕎麦の前にアジフライが気になった。オススメのボードにも書いてある。やはり食べるべきだろう。そもそもアジフライが好きなのだ。社長 島耕作で万作会長がアジフライに一家言垂れてるが、知ったことではない。美味いものは美味い。
アジフライは野菜充実。骨は抜いてあると大将が言う。一口かじる。確かに骨はないが、少し生臭い。違うな。塩焼きを揚げたような香りと食感だ。身がホワホワすぎる。付け合わせはキャベツにきゅうり、トマトとパセリ。ドレッシングはゴマだれ。調味料はケチャップソース。
ざるそば
蕎麦を食いに来てアジフライで腹一杯。しかし、この店に来た目的はアジフライではない。蕎麦だ。ざるそばを頼む。手打ちと書いてあるものの、550円で出せるのか?
蕎麦を注文してから、大将が大きめの片手鍋に水を入れてわかしはじめた。一抹の不安がよぎる。
店内では野球の日本シリーズが放映されている。私は興味がない。
手打ちそばの簡単な見分け方がある。といっても、残念な手打ちそばの方だ。それは蕎麦の太さが不揃いかどうかだ。麺類は均等に茹で上がるのが理想的だから、不揃いだと美味しくなくなる。美味い手打ちそばは、機械で切ったかのように、綺麗に太さが揃っている。
手打ちであれば、機械打ちより美味いというのは正しくない。太さの不揃いな手打ち蕎麦なら機械打ちの方が美味いのだ。とはいえ、最近は「乱切り蕎麦」なる、あえて不ぞろいに蕎麦を切った、機械打ちの「手打ち風蕎麦」もあるので、侮れない。
まあいい、食べてみよう。
うん、これで550円ならいいか。これはプロの蕎麦ではない。アマチュアでもない。はっきり言って趣味の蕎麦の域を出ない。プロは客を満足させなければならない。アマチュアはプロの蕎麦に近づくべく技を磨く。趣味なら自分が満足できればいい。誰を見て蕎麦を打っているのか、この店は明白だ。それを価格が補っているから、文句は言えない。
さて、酒も食も堪能した。予は満足じゃ。帰って寝るとするかのう。
兵たん(Hot Pepper)
数年前に五十路となったバツイチ男性。昨日は沖縄、今日は北海道、明日は四国…出張三昧の日々、三年間で制覇した店は千店舗を超えた。日本全国及び海外での食事を記録したブログである。五十路とは本来「五十歳」を意味するが、現代社会では「50代」と誤った認識が定着している。それにあやかりブログのタイトルを名付けた。(詳しく読む…)