モヤシ炒め

山口県防府市 お好み焼き 浪華 モヤシ炒めとやきそば

今年二度目の防府

防府に来たら食べてみたいものが二つあった。一つは焼肉三連勝。前回、注文した肉をことごとく横取りされ、ハイボール二杯と牛タン二枚、キムチ少々で五千円も取られた。

リベンジなのであります。

ところが三連勝は予約不可。リベンジならず。無念。

もう一つはフグ。こちらでは「フク」と呼ぶ。地元の知人に美味しい店を尋ねたところ、一言。

「今は季節じゃない。」

冬に天然物のトラフグを食べるのが一番だと力説された。

ならばこの季節、フグ料理専門店は客に何を提供しているのだろうか。たまたま地元の有名店の前を通ったところ、フグではなく鱧ののぼりが立っていた。

鱧もうまいよなあ。夏の風物詩だ。

と言うわけで、望みは叶わず。

また来いと言うのか?

山口県に来る機会など、そうそうない。岩国空港と山口宇部空港、二ヶ所の空港があるとは言え、確かに沖縄から岩国まで直行便が飛んでいるとは言え、そもそも山口に用件がないのだ。

瓦そばをお土産に買ったはいいが、やはり本場で食べてみたい。中原中也記念館に行こうとしたが、呑み疲れ疲労困憊で断念した。あとは下郎(ういろう)を買いに行くくらいだろうか。いやいやいや、秋芳洞を見ずして山口を去るとはなんたること。

やはり、理由をつけて再訪するしかあるまい。

ホテルの近くで昼食を済ませ、薬局で風邪薬と栄養ドリンクを購入してホテルに戻った。

疲れた。

薬とドリンクを飲んで横になる。

夕方まで休むとだいぶ楽になったので、ホテルから出ることにした。これから体育館で1500人ほどが参加する大懇親会だ。久しぶりに会う人もたくさんいた。話しているうちに食べ物がなくなり、飲むばかり。

二次会で食べるしかない。

だが、千人以上の人間が防府の街中で飲み食いするのだ。居酒屋でもスナックでも多くの店に予約が入っている。もちろん、三連勝も予約でいっぱい。

どこで何を食べればいいのだろうか。大懇親会の会場からバスで駅まで移動すると、あぶれた異邦人を地元民が束ね、あとをついて来いと告げた。

お好み焼き 浪華(なにわ)

腹をすかせた中年男女10名ほどが、ぞろぞろと飲み屋街を地元民の後をついて歩いた。数分ほどで目的地に着いた。 店に入る。土曜日の夜だと言うのに、店内はガラガラ。客がいない。

なぜ?

メニュー

奥のテーブルに通される。とりあえずハイボールなのだ。

さて、何を食べようか。

あまりの空腹に、皆、思い思いに注文する。あとは出てきたものを平らげるだけだ。弱肉強食なんてことはない。そんなに若くない。金なら若干持っている。なくなれば同じものを再度注文するだけのことだ。

もやし豚炒め

まあまあ。もやしがシャキシャキだ。腹が減っているのでがっつく。サバンナに転がった動物の遺体を貪るハイエナの群れと変わらない。何本もの箸がさらに群がる。あっという間に空になる。皿はまるで骨だけになった動物のようだ。

豚バラ

味はいいけどしょっぱい。ドリンクはジャバラサワーが一番人気。これは幻の柑橘と呼ばれる「じゃばら」を使ったサワーであり、花粉症に効果があるとも言われている…らしい。自分が飲まないから興味がない。

チャーハン

バターの香り良くて口当たりはいいのだが、一口食べただけなのでなんとも言えない。何口か食べると味が変わることなんてザラにあるではないか。

焼きそば

ソースの香りがいい。食べてみると具沢山。香りほどソースの味がしない。きちんと素材の味がする。デラックス焼き。普通にお好み焼き。広島風でもない。焼きそばと一緒に食べて広島風。

モダン焼き

食べる場所で味が異なる。玉子と一緒に食べると甘みがある。玉子抜きだとまとまりがなくなるを味がバラバラ。これはなんと言えばいいのか。感想が難しい。

ごちそうさま

なんだか、なに食べても感動がない。ソコソコの味。

「この店、何を食べても美味くないんですよ。」

地元民が大きな声で言う。なんでそんな店に連れてきた?

「だからいつも空いてるんですよ。困った時にこの店に来れば、必ず入れるんです。」

確かに。どの料理も味が右斜め上にずれているように感じる。来店時はガラガラだった。今は満席になっている。皆、行くアテがないのか。

厨房には老夫婦。フロアで料理を運ぶのは孫だろうか。どう見ても小学校3〜4年生だ。

「孫が起きている限り、店は開いてるんですよ。」

確かに子供と年寄りの生活時間帯は同じだ。祖父母のお手伝いをするかわいい孫と美談で済ますこともできるが、見方を変えれば、児童を不当に労働させてることになりやしないか。

もやし炒めだけは別格だ。こいつは美味い。おかわりなのだ。うん、美味い。

腹もいっぱいになったので退散だ。勘定を支払うとお釣りが五百円程あったので、子どもに「お小遣いだよ。」と言って渡したが、にこりともしない。地元民が解説する。

「もらい慣れて、スレてるんですよ。」

いろいろと考えさせられる店だった。

さて、病み上がりの私は帰りますね。皆さんは防府の夜を楽しんできてください。

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