天ぷらうどん

山口県防府市 味善 防府店 天ぷらうどん

味善 防府店

昨晩の戦いでだいぶ疲れているようだ。ああ、ふぐのおかゆが食べたい。今の私を癒してくれる食事はないものだろうか。現在の持ち時間は30分。その後は列車を乗り継いでおよそ4時間、出雲への旅だ。この一年で何度目だろうか。

駅に入ると立ち食い蕎麦が目に入った。そうだ。子供の頃から私の胃を満たしてくれたのはこいつぢゃなひか。ふらふらと街灯に引き寄せられる虫のように店に近づく。

メニュー

さて、なにを食べようか。メニューを見る。肉うどんもいいな。ごぼう唐揚げも捨てがたい。梅もありかな。まあいいや。店に入ろう。この店はおかみさんが一人で切り盛りしてるのか。

カウンターで注文すると、すぐに出てくるシステムだ。なんにしようか。ごぼうは天ぷらじゃなくて唐揚げか。それはなんだな。うーむ、カウンターで天ぷら蕎麦を受け取っている客がいる。ああ、かき揚げは悪くなさそうだ。私も天ぷら蕎麦を頼んだ。

同じ間違いは犯さない

その時だった。脳裏に記憶がフラッシュバックした。私はこの店で食事をしたことがある。それも、蕎麦を食べて強烈に後悔したことまで思い出したのだ。ここは西日本。つゆはうどん用の塩ベース。蕎麦には合わない。次回は絶対うどんにするべしと心に誓ったのだ。

慌てて私はおかみさんに言った。

「すいません、やっぱりうどんで。」
「ええ?」

蕎麦を鍋に入れようとしていたおかみさんは少し戸惑った顔をしたが、すぐにうどんを取り出して鍋に入れた。間に合った。冷水機のそばに陣取る。コップに水をいれて一気飲み。

美味い!

もう一杯、コップに水を入れると再び一気飲み。

なんて美味いんだ!これを甘露と言うのだろうか?身体が強烈に水を欲している。アルコールをアセトアルデヒドに分解するにも、こいつを酢酸に分解するにもH2O、つまり水が必要なのだと言われているが、それは化学的にアセトアルデヒドを酢酸にする時は、加水分解のため水が必要なだけで、体内では酵素がアセトアルデヒドを酸化させるから水は不要だ。だが、飲んだ後はオシッコが大量に出るので水分が不足し、身体が水分を欲しがるのだ。

一息ついていると、隣の客が天ぷらうどんとビールを注文した。昼だよ?立ち食いうどんだよ?ここでビール飲むの?

天ぷらうどん

うどんが温まると、おかみさんはどんぶりにお湯を切ったうどんを入れ、つゆを入れ、天ぷらを入れ、またつゆを入れてネギをのせる。トッピングの玉子をお願いして月見天ぷらうどんだ。

つゆをすする。アツアツだ。うどんは細め。コシはない。

七味をかける。美味い。味わいが広がった。ネギが香ばしい。卵の黄身が甘い。天ぷらはすぐに溶けてぐちゃぐちゃだ。うどんを食べ終わると、まるでおかゆ。ハシで食べられる具だけすくい取って口に入れる。なんて身体に悪そうな食事なんだ。これがいいんだよ。

さすがに衣が完全に溶けたつゆは飲みきれない。ほぼほぼ残してフィニッシュだ。ああ、癒された。最後にもう一杯、水を飲んで店を出た。

疲れた。早く列車に乗って寝たい。

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