あゆの里 朝食

熊本県 人吉温泉 ホテルあゆの里 朝食

地元民には分からない

昼飯を食いながら、地元民に尋ねられた。

「あゆの里って朝飯、美味いですか?」

もちろん、イエスである。私があゆの里を訪れるのは、これで何回目だろうか。一度や二度ではない。しかし、地元民はここのオーナーといくら関係が良いとはいえ、自身が宿泊することは稀だ。まず、無いと言っても過言ではない。

沖縄も観光地なのでホテルが多い。県外から訪れる方々からホテルについて尋ねられても、地元民が答えられるのは、外観とアクセスの利便性のみである。飲み屋が近いとか、駅に近いとか、その程度。宿泊することがないからである。

私は結婚前、沖縄と関東に家を借りていたので、なにかと往復の日々が続いた。東京への出張が多いので、東京から沖縄へのホテルパックで手配したほうが、旅費が安く済むのだ。沖縄一泊であとは延泊扱い。もったいないので、宿泊してみたり、朝食だけを食べに行ったりした。宿泊しても、風呂にも入らず、そのまま自宅に戻ってシャワーを浴びる。着替えが無いから当然だ。ホテルから自宅まで、ほとんどが車で五分以内だ。

なので、当時、泊まったホテルについては説明ができるが、ここ数年で新しくできたホテルには宿泊することがないために、やはり利便性しか伝えられない。まして朝食の良しあしなど分かりようもない。県外から法沖した知人らに尋ねようにも、酒呑みばかりで朝飯は食べないので、回答は得られない。会社の宿泊部門の同僚の話では、ここ数年、那覇市内のホテルの朝食摂取率はどんどん下がっているとのことだ。

さて、質問の答えだが、美味いのである。

人吉温泉 あゆの里

解説しようではないか。このホテルに泊まるのは、おそらく二度目か三度目である。人吉温泉では一番人気のホテルで、規模も大きく、施設も新しい。客室の窓は大きなモニターなようだ。カーテンも電動である。球磨川沿いの部屋だとかなり景色がいい。

朝食会場はかなり広い。品数も多い。好きなものを好きなだけ食べられる、バイキング形式は旅の醍醐味の一つである。

まずは味噌汁、少し甘口の味噌だ。具は海苔と麩のシンプルなもの。

豆腐が甘い。タレの味ではない。大豆の持つ甘さがよく引き出されている。少し温かいのは出来立てだからだろう。生姜の辛さが引き立つ。

サラダは野菜がシャキシャキだ。種類も豊富で嬉しい。フレンチドレッシングがかなりマイルドだ。穀物酢ではなく、果実酢を使っているのだろうか。ブロッコリーもしっかりと歯ごたえが残るゆで加減。冷凍物ではないのが嬉しい。

セイロで蒸しているジャコが柔らかい。大根おろしの甘さとマイルドな醤油の塩気が食欲をそそる。ご飯がまた美味い。この辺りは水がいい。球磨川は九州でも随一の清流だ。四年前、けいたまがお腹の中にいることを知らずに、妻とラフティングに挑戦した。

こんにゃく刺身は酢味噌が絡むように表面がザラザラだ。しっかりとした食感、マイルドな酢味噌。好みだ。野菜の甘酢漬けも酸味控えめで昆布が香る。ものすごく薄くスライスされた大根の食感がいい。これは自宅でも試してみよう。

生ナスは舌触り滑らかでフルーティーである。ジューシー水ナスのようだ。甘辛の味噌ととてもよく合う。野菜スティックのように食べれてしまう。

温泉たまごがでかい。LLサイズだろうか。口の中いっぱいの大きさだ。黄身はしっかりと甘い。味付けは控えめで正解なのだ。

カリカリのさつま揚げもしっかりとした味と食感。この辺りは鹿児島や宮崎との県境だ。文化的には鹿児島に近いかもしれぬ。地元では「つき揚げ」と呼ばれるつまみ揚げは、ご飯のおかずにも酒のあてにもなる。温かいうちに食べるのがポイントである。

生きくらげを食す

人吉はキクラゲが名産ということで、しゃぶしゃぶにで食べてみる。せっかくなのでうどんも食べてみた。我が家にも中国から取り寄せた黒竜江省産の乾燥キクラゲがある。肉厚でプリプリで、コリコリとした食感は炒め物や豚骨ラーメンに最適なのだ。

さて、生キクラゲ。最近は沖縄でも生産されているがどうだろうか。ん?食感がシャキシャキしている。一緒に白菜を食べているのか?いや、そんなことはない。まるで葉野菜を食べているかのようだ。これがキノコなのだろうか。白菜を食べてみる。うん、これが葉野菜の食感だ。ポン酢が美味いなあ。

再び生キクラゲ。見た目が違う。乾燥キクラゲはこんなにはテカらない。ノングレア処理された液晶画面の如しである。目の前のキクラゲはキラキラと光を反射している。まさにテレビと同じ、液晶クリア画面のようである。食べてみるとさらに違いに驚く。乾燥キクラゲがコリコリとした部分だけのシンプルな構造に対し、これは重層的だ。シャキシャキとした表皮がニュルニュルとした内部を包んでいるかのようだ。

これが生の実力か!

私の知っているキクラゲとはまさに別物。キクラゲの刺身とは、まさにこれだろう。キクラゲうどんは粉末にしたものを練りこんだのだろうか。麺の口当たりが滑らかだ。キクラゲでコーティングされたかなような食感だけではない。香りまでもがキクラゲである。美味い。

締めはモーニングカレーなのだ。刺激控えめのマイルドなカレーはまさに朝食にふさわしい。具にはしっかりと肉の塊も入っている。福神漬けだけではない。浅漬けもまたカレーにマッチする。

満足じゃ。

さて、昼は上村のウナギだ。久しぶりだ。楽しみだ。

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