飛騨牛しゃぶしゃぶ

岐阜県高山市 飛騨ホテルプラザ 宴会コース料理

二時間半の会議も無事に終わり、これから懇親会だ。会場は飛騨ホテルプラザ。高山市役所の向かいに立つ、高山で一番大きなホテルだ。(たぶん)

懇親会というものは、参加者が百人を越えれば、洋間で円卓に座ることが多いだろうか。いわゆる大皿コース料理がメインだが、ホテルによってはメニューが中華に偏ることも少なくない。同じような料理が続くことも珍しくない。これが何週間も、何日間も続くと嫌になってしまう。そういえば三年ほど前に、北海道でこのような宴席が三日間続いたとき、一日目は肉に走った。二日目は魚に走った。三日目は肉も魚も嫌になって、付け合せの野菜ばかり食べていた。

なので、今回のようなお座敷宴会は珍しい。参加者が300名近くいるので、眺めも壮観だ。宴席の開始前に座席表が配られたが、自分の名前がない。登録を忘れたのかと焦っていたら、上座に席が用意されていた。これも初めての経験だ。

お膳の上の紙が粋だ。

これを外すと、これまた粋なメニューと三段重が現れた。

挨拶が終わると地酒で乾杯だ。早速、食事をいただく。高山では、この後「めでた」がステージで行われるまでは、席に着いてなくてはいけない。もちろん、トイレや喫煙はかまわないのだが、酒を飲むのは自分の席でなければならない。酌を注いで回るなど無粋なのだ。腰の重い私にはありがたいシステムだ。さあ、食べようか。

スーパードライが飛騨仕様になっている。私はモルツ派だ。プレミアムモルツではなく、無印のモルツ派だ。もしくはハートランドだ。シルクエビスでも構わない。スーパードライは好きではないのだが、好みのビールがないければ なんでも飲む。

酢の物は酸っぱすぎず甘すぎず、上品な味だ。茗荷がうまい。イカは酢イカのようだ。煮物も上品な味付け。根曲がり竹がうまい。赤巻きはカマボコ?こも豆腐ってなに?こも豆腐は高山の郷土料理だ。

砂肝はサラミのような味。エゴマかぼちゃはほのかな甘さのあとにエゴマの香りが爽やか。サーモンは塩麹と相性良く、なますと食べると臭みが消える。川魚の唐揚げは臭みもなく、冷めて衣は湿気っているのに酒のつまみに合う。美味い。二色豆腐は甘みがあり味がしっかりしているが舌触りはザラザラ。こういうものだろうか。

ついに「めでた」だ

ここで「めでた」が始まる。高山の人間なら誰でも歌えるらしいが、簡単じゃない。楽譜らしきものもあるが、これでは雰囲気しかわからないから、やはり口承されてきたのだろう。ステージで数十人によるめでたが終われば、あとは無礼講だ。

牛しぐれは意外に薄味。牛の味がしっかりとする。これだけで美味いがちょっと脂っこいかな。ミニトマトは湯むきして加熱してある。トマトの酸味はそのままに薄く味付けされていて美味い。刺身は山の中だから仕方がないか。こんなものだろう。

うどんは手延べ系。好み。つゆも関西風で美味い。牛しゃぶは牛の味。そろそろ腹がいっぱい。高山牛なのに。締めのおにぎりちゃ漬けは、塩が少し強めで食欲をそそる。みつばの香りがたまらない。デザートはスイカはまだ走りだけど、ゼリーが美味い。

宴席の料理ではかなりレベルが高いと感じた。もちろん、数人で食べる料理の味には敵わない。味だけというよりも、何百人もに同時に料理を出すのだから、なかなか作りたてを出すのは困難だ。作り置きができる料理もあれば、刺身や蕎麦のように、すぐに出さなければならない料理もある。温かい料理は冷めてしまうし、揚げ物は湿気ってしまう。

それでも、宴席は食を通して祝ったり、語ることが目的だから、そこそこ美味ければ満足だ。不味かったり、足らなかったり、酒に合わない料理ばかりだと閉口してしまう。高山を味合わせたいというホテルの理念が伝わるようで、そのおもてなしは素直に嬉しかった。

今度はぜひ、家族で泊りたい。

飛騨ホテルプラザ 公式HP

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