キャプテンズテーブル
飛行機は定刻より少し遅れて羽田に到着した。乗り換えの時間を考えると、食事に使える時間は20分程度だ。立食い蕎麦か、カレーぐらいしか食べれないな。しかも昼時だからどこも混んでいるだろう。どうするか。
飛行機から降りて、ブリッジを歩きながら考えた。ゲートを通り過ぎて、トイレを探そうと私の目に入って来た光景は、キャプテンズテーブルだった。
そうだ。
普通は飲食店はお昼時に混むものだが、空港ではお昼時に出発する便は多くない。しかもANAと違ってJALだと、到着でも出発と同じフロアを使うので、ここで食事ができるのだ。何を食うか?選択肢は4つ。
- 丼ものは重すぎる。昨日飲み過ぎて、胃の調子がイマイチだ
- 寿司もなぁ…ここのは美味しいのだがパス
- おにぎりと味噌汁は、朝飯みたいで嫌だ
となると、残る選択肢は、三合庵の蕎麦だ。これにするか。
三合庵
店に向かうと、客はそれほど多くなかった。レジには誰も並んでいないので、すぐに注文ができた。メニューを見る。
いつもなら天せいろなのだが、時間もないし、胃も弱っている。せいろ蕎麦を注文すると、番号札を渡される。できあがると、この番号で呼ばれるのだ。カウンターの前の席が空いていたので、そこに座る。
カウンターの奥は調理場になっていて、職人が黙々と蕎麦を茹でている。それをレジ係兼デシャップの女性が、盆に盛り付けて、注文をさばいて行くシステムだ。女性の制服がアンナミラーズのように見えるのは気のせいだろうか。
せいろ蕎麦
ほどなくして私の番号が呼ばれた。見た目は更科ではないが、みずみずしくて美味そうだ。さっそくいただくとする。蕎麦は滑らかでコシが強く、喉越しが良い。つゆは辛めだ。なかなかイケる。もう一口。蕎麦をすすると、あまり噛まずに飲み込む。ああ、喉越しが気持ちいい。コシがない蕎麦だとこうはいかない。あまり調子が良くないのか、二日酔いなのか、いつもなら欲しくなる揚げ玉すら今日は不要だ。一心に蕎麦を食べる。あっという間にせいろは空になった。
すべてセルフの店なので、蕎麦湯もカウンターのポットに入っている。蕎麦猪口を持参して、蕎麦湯を入れる。サラサラとした蕎麦湯だ。これが辛口の返しに合う。ネギが香ばしい。胃にしみる。
さて、ゆっくりしている時間はない。カウンターに食器を返却すると、私は京急線に向かった。今晩は予定がない。一人でゆっくりできる。明日は朝から久しぶりに上の娘と会うので、体調を万全にしておこうと思うのだった。
羽田空港 三合庵
数年前に五十路となったバツイチ男性。昨日は沖縄、今日は北海道、明日は四国…出張三昧の日々、三年間で制覇した店は千店舗を超えた。日本全国及び海外での食事を記録したブログである。五十路とは本来「五十歳」を意味するが、現代社会では「50代」と誤った認識が定着している。それにあやかりブログのタイトルを名付けた。(詳しく読む…)