本日のディナー
朝7時、自宅を出て沖縄から上京し、昼は羽田産の穴子を食し、午後は会社で打合せ。長かった一日がようやく終わる。明朝の便で沖縄に戻る。時間的には日帰りも可能だが、五十路の体にはさすがにキツイので、社宅に泊まることにした。さっさと食べて眠りたい。ディナーはどこで食べようか。
芝商店街の界隈で一番多い店は中華である。但し私を満足させる店は少ない。刀削麺の店以外は再訪したことがない。だが、まだ食べたことのない店は少なからずある。その一軒がこの、歓迎您。日本語に訳せば「いらっしゃいませ」。どんな料理に出会えるのだろうか。
ん?
歓迎您の中国語ローマ字はhuan ying ninである。ピンインでもウェード式でも同じつづりである。しかし看板にはFan yin ninと書かれている。中国語ではFとHは発音が異なる。また、ying とyinも別の発音である。英語と同じだ。いったいどこの方言なのだ?こちらで調べてみた。下記の方言における発音を調べることができる、すぐれもののサイトである。
- 広韻(古語)
- 福建語
- 広東語
- 潮州語
- 客家語
- 上海語
- 蘇州語
- 圍頭語
- 無錫語
- 南京語
どれでもない。はっきり言おう、このローマ字はおそらくでたらめだ。但し、コンピューターではfanyinと入力すれば歓 (huan) 迎(ying)と注釈付きで表記される。これだろうか。
「お酒セット980円」まずはこれだな。
中国料理 歓迎您
店内に入ると客は誰もいなかった。少し早かったからだろうか。まだ午後六時前ではある。好きな席に座れと言われ、端っこの席を陣取る。お酒セットを注文する。
お通しはザーサイ。ボリュームあり、味も悪くない。ビールに合う。
湯葉の青菜和え
想像とはかなり違うものが出てきた。店員は中国人だ。店内に飛び交う言葉は中国語だ。ならばメニューも中国語で書いて欲しい。いや、併記すべきだろう。
湯葉とパクチョイ、人参をニンニクと油と塩で和えたものだ。確かに料理名と間違っていないが、こんな料理は初めて見た。 薄味でヘルシーだが、料理を食べてる感じがしない。ザーサイと一緒に食べると、塩気で多少マシになる。
BGMは少し激しいダンス調の音楽、と思ったら日本のポップスだ。
麻婆豆腐
さほど辛くなく痺れもしない。日本のものとは違うが、まずくはないが感動もない。顔から汗が噴き出してきたので、そこそこ辛いのだろう。頭もかゆい。
ハイボールと春巻きを追加オーダー。この店はどこの地方の料理なのか。国内で広島焼きも札幌ラーメンも治部煮ももつ鍋も出す店があったら、居酒屋か?となるだろう。シェフの郷土料理をそのまま作れば良い。ほとんどの日本人は知らないだろうが、四川料理と餃子はまったく異なる地方の料理だ。
まさかの春巻
春巻き。一瞬、目を疑った。からしパックが無造作に置いてある。中国だ。私は笑ってしまうが、日本人なら怒り出す人もいるだろう。だが、中国人は理解できない。これが日中の文化の差。どちらが進んでるとか遅れてるではない。細やかさと粗雑さは、言い換えるとめんどくさいか合理的かである。私はどちらも好きである。
ここでまさかのトラブル。醤油とラー油を間違えた。さすがに春巻きにラー油はないので、ザーサイを春巻きの皿に移し、醤油と酢を入れる。カラシを春巻きにつけて、酢醤油に浸して食べる。サクサクに揚がった春巻きは皮の味しかしない。いや、カラシと酢醤油の香りもするのだが、これ、中身なんだ?断面を見つめて確かめる。
あれ?
まさか?
イオンの冷凍春巻とすごく似ているのは、きっと私の勘違いだと思いたい。店のすぐ近くにマイバスケットがあるのも偶然だろう。
ハイボールお代わり。今日は半額デーなのだ。トイレはただの洋式便座。この辺りはたこ焼き屋ですら温水洗浄便座だと言うのに、どうなってるのだ。
そして二軒目
18時半。私以外に客はいない。おそらく遅い時間に混みだすのだろう。トイレで鏡を見て驚いた。顔が赤い。普段は顔に出ないのだが、出るときは体調が悪いのだ。自覚はないが疲れているのだろう。ああ、もしくは単に焼けただけだもしれない。今日の東京の日差しは沖縄と変わらないくらい厳しかった。
締めて1850円。こんなものか。
酒焼けか日焼けか定かでないまま、分かっていることは、行くつもりのなかった、行っちゃダメだ、行っちゃダメだ、行っちゃダメだと思いながらも、ハイボール缶を買って帰るのが面倒だからと自己正当化して、タコ王子に飲みに行く自分がいた。おそらく、地元の先輩である会社の部下が待ち構えているだろう。私にスパークリングをたかるのだろう。そうしてたこ焼き屋で数万円も使って帰るのである。これも福利厚生なのである。
さあて、タコ王子で仕上げと行きますか!
休みであった。
コンビニで酒買って帰ろ。
数年前に五十路となったバツイチ男性。昨日は沖縄、今日は北海道、明日は四国…出張三昧の日々、三年間で制覇した店は千店舗を超えた。日本全国及び海外での食事を記録したブログである。五十路とは本来「五十歳」を意味するが、現代社会では「50代」と誤った認識が定着している。それにあやかりブログのタイトルを名付けた。(詳しく読む…)