20年ぶりの函館
定刻より10分遅れで出発した羽田12時発 ANA63便は雪のために新千歳空港に降りられず、15時過ぎにやっと函館空港に着陸した。函館駅に着いた頃には16時を回っていた。今から特急に乗っても札幌到着は21時頃。目的地の岩見沢まではさらに45分かかる。今回の出張は6泊。まだまだ始まったばかりだから無理はせずに泊まることにした。こうして思いがけず20年ぶりに函館に来たのだった。
翌日の移動を考えて駅前のホテルをネットで予約したのだが、函館駅の周辺を見回してもそれらしきホテルは見当たらず。朝市の案内が目に入ってきた。おお、明日の朝飯は朝市でイカそうめんか。20年前にも食べに行ったな、なんて思いながらスマホの地図でホテルを探すと、目的のホテルがあるのは五稜郭駅前。ここで駅といえば函館駅だろ!朝市に行けないだろ!おかしいだろ!と一人でツッコミを入れるも、仕方ないのでタクシーでホテルへ向かう。あらためてホテルの位置を確認すると、函館駅と空港の間。なんだ、この方が明日ラクじゃないかと一人で納得。
ホテルに着いた頃にはだいぶ陽が陰っていた。チェックインを済ませ、地元の知人にオススメの店を聞く。いくつか候補をいただいたが、雪で足元も悪いのでホテルから一番近い店を選んだ。いや、近いからではない。ネットで調べて一番興味を持った店がホテルから一番近かった。
Hakodate Dining 備後屋
ヌカルんだ雪に足を取られそうになりながら店に向かう。札幌ほど寒くないが、前日までに急に雪が降ったとかでそれなりに積もっている。目的地は住宅街の奥まったところにあった。「HakodateDining 備後屋」私好みの渋い店構えだ。暖簾をくぐり、腰をかがめて店に入る。入口の天井が茶の間のようにワザと低くしてあるのだ。
ひとりであることを告げると、個室のようなところに通された。カウンター席だ。普通は大勢の客から見える場所に配置されるカウンター席が個室のようになっていて、遮断されている。とても静かだ。これはいい。早速ビールを頼むとメニューを眺め始めた。まずは海鮮。ここは刺し盛りだ。温かいものも食べたいので牛すじ煮込みも。函館といえばイカだから姿焼き。そして締めは鯛釜飯だ。
函館の幸に酔いしれる
刺し盛りが運ばれてきた。ツブ、サーモン、生ホッキ貝、タコ、タイ、マグロ。ああ、なんで北海道でマグロを出すんだよ。昔、帯広に住んでた従兄弟が東京に来たときによく言っていた。
「東京は魚がまずいけど、やっぱマグロだけは美味いな!」
そう言えば彼にマルチ商法の片棒を担がされそうになったなぁ。与那国島のサンゴを使った浄水器だったかな。彼の愛人らしい女性も紹介されたけど、自分なら絶対に付き合わないタイプだった。ある日、なにげにお袋に話したところ、速攻で北海道の親族に話が飛び、やっぱり浮気してたのか…とかなって、もともと相当疑われていたのを私が証拠を提供したみたいになって、離婚してどうのこうのとか…忘れた。彼は元気だろうか(⌒-⌒; )
しかし考えてみればここは函館。津軽海峡が目の前。むしろマグロの本場だから美味しいかもしれないとワクワクしてきた。結論、北海道はどこで魚を食っても美味い!
牛すじ煮込みは見た目に反してマイルドな味わい。煮卵のあっさりした白身と黄身の甘さがマッチしている。
イカの姿焼きは注文してすぐに出てきた。焼き物なのに早いなと思って口に入れると温かくない。作り置き?ちょっとがっかり。普通にイカの味だった。
クリオネ鑑賞
カウンター席は私ひとりだ。たまにスタッフが作業しに入ってくるくらいで、一人くつろぎながら食事ができるのは個人的には好きだ。なんて思っていると女性スタッフが氷を詰めた桶にビンを入れたものを持ってきた。
「クリオネです。よろしければ鑑賞しながらお食事をどうぞ。」
なかなかにくい演出だ。私はそれをカウンターにおろし眺めた。ビンの中には数匹のクリオネがいた。網走の居酒屋に「クリオネ丼」ってメニューがあったことを思い出した。
鯛釜飯
ようやく鯛釜飯が運ばれてきた。よく混ぜてから茶碗によそい、刺身と一緒に食べる。美味い!これは美味い!鯛の香りが鼻腔をくすぐる。口に入れれば上品な出汁の香りが広がり、噛めばコメの甘みと鯛の旨味が滲み出てくるような味わいがある。これは待った甲斐があった。ものの数分で食べきってしまった。
いつもならここで終わらないのだが明日のことを考えて今日は酒を控えることにした。今度はじっくりと腰を据えて飲みに来たいと思いつつ店を後にした。
Hakodate Dining 備後屋
住所 北海道 函館市本町28-15 備後屋ビル
最寄り駅 函館市電 五稜郭公園前
電話番号 0138-31-5555
営業時間 17:30 ~ 25:00
定休日 GW最終日と翌日連休 12月31日~1月1日連休 その他設備点検にともなう臨時休業
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数年前に五十路となったバツイチ男性。昨日は沖縄、今日は北海道、明日は四国…出張三昧の日々、三年間で制覇した店は千店舗を超えた。日本全国及び海外での食事を記録したブログである。五十路とは本来「五十歳」を意味するが、現代社会では「50代」と誤った認識が定着している。それにあやかりブログのタイトルを名付けた。(詳しく読む…)