TAO×一風堂
福岡出張、午前中に仕事の準備は終わった。ランチだ。博多に来たらラーメンでしょう。私はすでに周辺を調査済みである。とある店を本日のターゲットにしていた。会社から数分歩いたところに有名店があるのだ。まだ十一時半、昼前だから空いてるのではないかと、皆で向かった先には、すでに50メートル以上の列ができていた。
これは無理だ。
周辺を歩くも焼肉屋や定食屋といった店しかない。結局、ばらけようということになり、私は役員の一石さんと二人で食べることになった。
「どうします。」
一石さんが尋ねてきた。ネットで調べると、10分ほど歩いたところにすみれセプテンバーラブ、違う。小比類巻かほり、そうじゃない。一風堂があるではないか。ここも有名店だ。一石さんに提案すると、そこにしましょうと快諾だった。
着いた先は確かに一風堂と書いてあるが、TAOとも書かれている。並んでいる客もいない。店に入ると、店内の中央天井に大きな和太鼓が吊るされている。一体何の店なのだ、よく分からない。
メニュー
テーブル席に案内されると二人でメニューを見た。
私はTAO豚骨肉と玉子入りだ。
一石さんがもやしを小皿に寄せて渡してくれる。ラーメンが出るまでの口寂しさをしのぐのにこいつはいい。そう言えば、もやしは豚骨系の店でしか見たことがない。白樺山荘ならゆで卵になる。
餃子
先に餃子が出てきた。ジューシーで普通にうまい。
ラーメン TAO豚骨肉と玉子入
どんぶりが重い。レンゲがでかい。まずはスープをすする。美味い。臭いもくせもない、脂っこくないさっぱり目の豚骨スープがたまらない。これだよ、博多に来たらうまい豚骨食べないと。続いて、麺をすする。博多とんこつ独特のストレート極細麺だ。美味い。美味いのだが、なんだか麺がいつもより軟い。なぜだろう。
納得のいかぬまま食べていたところに、調理場の方から声が聞こえた。
「バリカタ一丁!ご注文いただきました。」
しまった!ひさびさに食べたので、麺の硬さを告げるのを忘れたではないか!私も麺はバリカタだ。そういや博多に住んでいる、同じ大学出身の石川県民は、博多ラーメンを麺やわ、ぬるめなどと言う、ラーメン屋の努力を愚弄するかのようなオーダーをして、その見た目にも美味く無さそうな麺をすすっていた。
麺を半分ほど食べたところでゴマを投入。香ばしい。そして紅生姜でさっぱり。卵は半熟。いい感じだ。さらにもやしを投入。替え玉はしないので、躊躇なくスープをすする。チャーシューも美味い。シャキシャキしたネギもコリコリしたキクラゲも、スープとからんで味覚のバリエーションを広げてくれる。
ごちそうさま
食べ終えると、一石さんが言った。
「やっぱ、美味いですね。沖縄では食えないですよ。」
同感です。沖縄のとんこつラーメンはまだまだなのだ。沖縄そばで豚骨を大量に使うのだから、ウチナンチューにも馴染みがあるし、美味いスープも作れるはずなのだが、なぜに沖縄にはないのか。支払いしている一石さんの傍で、派手な内装を改めて見ながら考えた。
ここはTAOという和太鼓アーチストとのコラボの店なのだとか。
一石さん、ご馳走様でした。
数年前に五十路となったバツイチ男性。昨日は沖縄、今日は北海道、明日は四国…出張三昧の日々、三年間で制覇した店は千店舗を超えた。日本全国及び海外での食事を記録したブログである。五十路とは本来「五十歳」を意味するが、現代社会では「50代」と誤った認識が定着している。それにあやかりブログのタイトルを名付けた。(詳しく読む…)