かに弁当

北海道美幌町 青葉荘

ホテル アーバン

宿泊しているホテルはなかなか年季の入った、昭和と歴史を感じさせる建物だ。エレベーターには「開」ボタンしかない。「閉」がないのに、ついつい押してしまうから、なかなかドアが閉まらない。

一階の朝食コーナーは、昼間はカラオケスナックだ。年配者が聴いたこともない古い曲を興じていた。

宿泊した室内には、バスルームで白髪染めを使うなとか、テレビの配線をいじるな等、あれをするな、これをするなと、手書きの注意書きがここかしこに貼られていた。

ツインの部屋なのだが、置いてあるベッドはシングルとダブル。

もう、ツッコミどころ満載である。

まさかのヨガ体験

朝から記念式典のためにホールに向かう。そう、今日は日本商工会議所青年部 北海道ブロック大会がこの地で開催されるのが。

途中、雲の多い空をバックに真っ赤なモミジを見た。道東は冬が早い。もう紅葉が始まっているのか。

二時間ほどで式典は終わり、美幌峠の視察に向かう。

え?着替え?ヨガ?なんの話?

視察は美幌峠の道の駅なのだが、その内容にはヨガが含まれるとのことだ。

聞いていない。

資料を確認すると、間違いなくヨガ体験と書かれていた。

マジか?!

仕方ない、ヨガは見学することにして、私は付近を散策することに決めた。

青葉荘 特製かに弁当

移動中のバスで昼食。手渡されたのはカニ弁当。

弁当か。美幌駅すぐ近くに位置する旅館、青葉荘の特製かに弁当である。美幌町は内陸部に位置するために海産物が獲れない。そこで加工に力を入れた製品が少なくないとのことだった。

パッケージは美幌峠からの屈斜路湖だ。淡水湖だ。カニはいない。仕方ない、温かいものを食べることを諦めて、弁当を食べることに決めた。なんせ朝飯を食べてないのだ。蓋を開ける。ハシでひとつかみ、食べてみる。

え?

なにこれ?

カニと内子(カニの卵)と錦糸玉子の甘みと風味が重なり合い、少し温かみが残るご飯と混じりながら、口の中に風味が広がる。

美味い。

これは美味い。隣の席の北海道民も言う。

「こんなに美味いカニ弁当は初めてかもしれない。」

んだんだ。同意だ。カニ弁当に限らない、久々にシンプルで美味い!と言える弁当に出会った気分だ。

最近の弁当は、テーマが食材ではなく雰囲気だったり雑駁なものが多い気がする。「カニ弁当」はテーマが明白だが、「海鮮弁当」だと、なにが入っているのか分からない。大人気の駅弁「牛肉ど真ん中」も牛丼弁当のシンプルさがウケるのだろうか。個人的には肉とごはんだけでは栄養バランスが悪いので、あの手の弁当は好きではない。

だが、カニは別物だ。しょっちゅう食べるものでもないし、余計なものもいらない。シンプルに素材を味わいたい。この弁当が人気を博している理由が分かった気がする。

あっという間に平らげた。

さあ、美幌峠では何が待ち受けているだろうか。

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