プレミアム御膳

ANA764 那覇〜伊丹 プレミアム御膳 ランチ

プレミアム御膳 ランチ

沖縄から内地への路線は九州を除けば2時間以上のフライトになる。昼前に着こうと思えば早朝便、朝6時過ぎに家を出なければならない。ランチを食べてから出発すれば目的地には夕方着。移動だけで終わってしまう。ほどほどの時間に家を出て、午後に仕事ができるように移動すれば、ランチの時間帯を避けることは難しいのだ。

結局、昼前の便に乗ることになるのだが、ランチも機内食となる。今日もランチが配膳された。小さな飛行機だ。分かっている。皿ではない、弁当箱だ。もちろん、熱いお茶をリクエストする。

ああ、ほうじ茶が飲みたい。

ラウンジにも用意されている、なんてことのない話ではないか。ルイボス茶だのゴーヤー茶だのグァバ茶だのを願っているわけではない。花笠食堂のさんぴん茶を出せと言っているわけでもない。

ほうじ茶だ。

こんなはかない願いさえも握り潰してしまう、大企業の冷酷さと傲慢さを、プレミアム御膳を食べるたびに思い知らされるのだ。「お客様の声」をこれだけ叶えたと、機内誌には自慢げな記事を掲載しておきながら、プレミアムクラスでほうじ茶を提供することは、自慢のシャンパンを用意するよりも難しいと言うのだろうか。

あまりにも理不尽だ。

愚痴を言っても始まらない。午餐を始めようではないか。ああ、味噌汁はいつもの具無し。寂しい。一口目を飲んでほっとしない味噌汁は、荒んだ心に産業廃棄物を投げつけるようなものだ。

うなぎご飯はうな重のような味付けではなく、あくまでもうなぎが載った混ぜご飯といった趣である。なのでおかずの味も邪魔しない。ごく少量ではあるが、小さな切り身からはしっかりとうなぎの味がする。

赤蒟蒻とインゲンの白和え、舌触りが滑らか。白和えはあまり好きではないが、バランスよく和えてあるのか、これはいい。薄口のうなぎご飯とも相性が良い。赤蒟蒻は滋賀県の名物である。派手なお殿様のせいで蒟蒻まで赤く染め上げたそうな。

違うだろ。

派手なお殿様のご機嫌取りに赤く染め上げたら、うまく取り入ってもらえただけだろう。それでみんながマネしたと。自己正当化のために他人のせいにするものではない。

玉子焼きもいつものより美味い。硬くもなく、変に甘くもなく、素材の味を素直に生かした味わいである。

ミジンコ揚げとは、これいかに

胡麻豆腐の銀餡がけ、食べにくい。ゴマの香りがほのかにするが、容器にくっついて剥がれない豆腐と格闘しながらでは、味わって食べるなど不可能である。ましてアスパラまでは気が回るわけもない。

海老は素材の味をしっかりと引き出した上品な味付け。海老はともすると香りが強くなったり、濃厚な味が他の料理を邪魔してしまうのだが、脇役に徹している。

南瓜煮は南瓜の甘みに対抗するべく少し濃いめの味付け。見た目はしっかりと角を保った、固めに見えるが、食べてみると柔らかい。

白滝とたらこの煎煮は北海道の郷土料理を思わせるが、塩タラコとの和え物だ。少ししょっぱいが、日本酒と合いそうだ。

椎茸みじんこ揚げ、耳を疑うネーミングだが、まさか本当にミジンコではあるまい。全身緑色なのはもしかしてミドリムシだろうか。ユーグレナから供給されたものなのか。

調べてみた。

微塵粉(みじんこ)とは、蒸した餅米を乾燥させて細かくしたものである。微塵粉揚げとは、素材に小麦粉をまぶし、卵白にくぐらせて微塵粉をつけて揚げたものである。正統な和食の技法である。微塵子と間違えるとは己の無知を呪うばかりだ。

鶏唐揚げ山椒餡は山椒の香りがほとんどしない。お茶で温める。鶏肉の旨味は口に広がれども、山椒は存在が確認できず。山椒マニアの心を土足で踏みにじるような所業だ。これが大企業のやり方か。

鯖塩焼き、ふつうに美味い。うなぎ飯によく合う。はじかみがいいアクセントだ。

本日もつつがなくプレミアム御膳を食してランチ終了。

ああ、ほうじ茶が飲みたい。

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